東京都杉並区にあるラーメン店「はつね」。 ここは初音物件というだけではなく、ただものではないお店なのである。 ラーメン店だが、名物はタンメン。その味は、東京のラーメン有名店を抑えて、常に人気上位 を維持しているほど。 あらゆる要素で特徴づけが可能なラーメンに比べ、シンプルな素材と味付けに限定されるタ ンメンは、個性を出すのは並大抵のことではないのである。それでもここ「はつね」のタンメン は、ラーメン好きを唸らせるほどの高評価。「東京一」「日本一」を超えて、「宇宙一のタンメン」 とまで称されているほどだ。 前々から気になっていたこのお店、ついに調査するチャンスに恵まれた。今回は特集ページ を設けてご紹介したいと思う。 お店は中央線西荻窪駅すぐ近くに位置する。駅前の繁華街の一角に、こじんまりとしたお店 を構えている。お世辞にも立派とはいえない建物だし、看板もないので地味な外観なのだが、 営業時間中はいつも行列が出来ているのですぐにわかる。 店名を知らせてくれるのが、この暖簾。昔ながらのデザインで、渋い。 店内は6人ほどしか座れない狭さ。ご主人が一人で調理をしている(奥様と思われる女性が 手伝っていることが多い)。スキンヘッドのご主人は一見強面だが、じつは大変愛想のいい方 で、なにより寡黙に黙々とラーメンを作っている姿が好印象。まだそれほどの年齢ではないよう だが、とても真面目で熱心な人で、嬉しくなる。機械のように精巧な作業で野菜を刻み、寸分狂 わぬタイミングで野菜を炒める。手さばきを見ているだけで、熟練した技術を持っているのが わかる。 日本最高傑作と言われるタンメンがこれ(この画像のみ、お仲間の「風越 龍さん」撮影)。丁 寧に作られたことが一目でわかるような美しさで、色合いも見事。 肝心の味は…ラーメンのようにいろんな味を盛り込めないタンメンだから、一口目から驚くよ うな衝撃を受けるようなものではない。が、二度三度と口に運ぶにつれて、普通のタンメンとは 異なるものだということがわかってくる。だから、食べれば食べるほどにはまっていく。 食材も調味料も、特別なものを使っているようには感じない。完成度の高さは、ほかの店とは 比較にならないほどの丁寧な下ごしらえにあるようだ。雑味のない洗練された完成度が、ここ 「はつね」のタンメンの素晴らしさということなのだろう。 ここ、取材拒否店なので、ラーメンガイドブックの類には掲載されていないとか。別にご主人 が頑固だから断っているのではなくて、たぶん行列が長くなりすぎると近隣に迷惑がかかるか らとか、そんな気遣いで決めているルールなのではないだろうか。真面目な仕事ぶりを見てい ると、そんな気がする。 食べ終わる頃には、早くもまた食べに来たいと考えてしまう、奥の深い味を楽しめるタンメ ン。なるほど、これは日本一だ。ラーメンも東京で一番うまいといわれるほどの出来らしいの で、興味のある方は是非とも一度体験してみることをお勧めする。 ●おまけ ミクさんの「はつね」レポ● せっかくの特集ページなので、ブログに掲載したものを転載しておきます。お粗末なイラストと 妄想に満ちたストーリーですが、お楽しみいただければ幸い。 [ミク] 「はい、今日は西荻窪にある、噂のラーメン屋さんに来ました タンメンが素晴らしいと、一部の人には絶大な人気があるお店です お店の名前が凄いっ!! 私と同じ、はつねです!!」 [リン] 「どうでもいいけど、早く並ぼうよミク姉」 [ミク] 「こらっ、まだレポート中だから …って、どうしてリンちゃんも来てるわけ?」 [リン] 「mikiさんがね、ミク姉近々ラーメン屋レポの仕事あるらしいよって 言ってたから… 一緒に行ってついでに食べさせてもらうんだって 喜んでたから、リンが代わりに来た」 [ミク] 「よくmikiさん譲ってくれたね」 [リン] 「別に譲ってもらってないよ ただ、ミク姉が佐野ラーメン取材に 行くみたいって言ったら、なんか栃木行ってくるって出てった」 [ミク] 「リンちゃん… 今はいいけど、たぶんあとで大変なことになるよ」 [リン] 「リン、栃木県と群馬県の場所、わかんない」 [ミク] 「言い訳になってない」 [リン] 「それにしても、すごい行列… あと何分かかるのかな リンおなかすいた」 [ミク] 「えっと…10人くらいかな? たぶん、30分はかかるよ」 [リン] 「えーっ!! ミク姉、何とかしてよ ミク姉と同じ名前の店なんだからさ」 [ミク] 「名前は同じだけど、他人です しかも、今回お忍びで取材来てます お店の人も知りません」 [リン] 「…それって、仕事というより、ただ食べに来てる一般客なんじゃ…」 [ミク] 「そうとも言います」 [リン] 「やっと座れた… 疲れたよ、おなか空ききって、もうだめ」 [ミク] 「今日は私がおごります リンちゃん、好きなもの食べていいよ」 [リン] 「ミク姉も安月給でしょ なんか悪いなぁ」 [ミク] 「付いてきてて何言ってる(怒) まあ、今日は臨時収入があったから」 [リン] 「ボーナスですかもしかして!?」 [ミク] 「違う違う、マスターに今月の電気料金二度貰っちゃったから、 そのうちの一回分 あの人時々抜けてるから」 [リン] 「それ、ピンハネってやつじゃないの?」 [ミク] 「リンちゃんはまだそういうの知らなくてよろしい(汗)」 [リン] 「…で、何食べようかなぁ」 [ミク] 「ほら、メニューあそこ」 [リン] 「リン、やっぱタンメンにする! ここ、有名なんでしょ?」 [ミク] 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 [リン] 「…ミク姉、どうしたの??」 [ミク] 「・・・・・・・・・・・・・・ない・・・・・・・・・・・」 [リン] 「えっ!?」 [リン] 「何がないの?」 [ミク] 「・・・・・・ネギラーメン」 [リン] 「ミク姉、普通の初音ミクと違って、ネギ依存症じゃないでしょ?」 [ミク] 「依存症じゃないけど、ラーメンはネギが好きなの!」 [リン] 「しょうがないじゃん、ないんだから よし、リンと同じタンメンに…」 [ミク] 「ちょっと、何で"はつね"なのにネギラーメンないんですか!? おかしいんじゃないでしょうか JAROに通報しますよ」 [リン] 「ちょ、ミク姉!! 無理言わないでよ ないものはないんだから 大声で文句言わないでよ、恥ずかしいよ」 [ミク] 「肝心なときに大声出せなかったら、いつ言う!」 [リン] 「みっ、ミク姉…怖いよ」 [ミク] 「食べ物の恨みはもっと怖い」 [リン] 「いつものミク姉じゃない… うえーん、マスター」 [客] 「うるせーぞ姉ちゃん!!」 [ミク] 「ちょっと、何か文句ありますか!?」 [客] 「静かにしろ、せっかくのタンメンがまずくなる」 [ミク] 「食べられてるだけいいでしょ、私なんかネギラーメンが…」 [リン] 「リン、意味わかんない」 [客] 「騒いでないでさっさと食ってくれよ、並んでるんだからさぁ」 [リン] 「わっわっ、外のお客さんも文句言ってるし」 [ミク] 「ちょっと行ってくる」 [リン] 「ちょっ、ミク姉、待ってって」 [ミク] 「お客様、何かご用件がありまして!?」 [背広] 「あのー、まだ終わりませんか? いつになったら私の番が来るのでしょう」 [ミク] 「今立て込んでるんです 交渉中だから、もうちょっと待ってください」 [背広] 「交渉って… ご主人、何も聞いてないようですが」 [ミク] 「うっ… 一応要望はちゃんと伝えてます!」 [学生] 「ネギラーメンなんかねぇんだからさ、いいじゃん ここタンメンだよやっぱ タンメンにしちゃいなよタンメン」 [ミク] 「ネギラーメンがいいんです!! 百歩譲ってネギタンメン」 [学生] 「そんなのねぇって ネギラーなきゃ、ネギタンもないの!」 [リン] 「ミク姉、そろそろやめようよぉ… リン、もうおなか空いたよ これ以上待たしたら、泣くからな」 [ミク] 「…そっか、仕方ないか 諦めよう」 [学生] 「おれ、ネギラーメンうまい店知ってるよ」 [背広] 「うちの実家が深谷の農家で、ネギを…」 [ミク] 「そんな方法で誘っても、釣られません ナンパお断り」 [リン] 「あれだけ騒いだから、単に親切で言ってくれてるんだと思うぞ(汗)」 [ミク] 「ネギラーメンなかったけど…タンメンおいしかったね」 [リン] 「どうなることかと思った… でも、あの店やっぱおいしいよ」 [ミク] 「リンちゃん、おなかいっぱい?」 [リン] 「もう満腹」 [ミク] 「…じゃ、先帰ってて 私はちょっと寄ってくトコが」 [リン] 「リンも行く〜」 [ミク] 「だって、おなかいっぱいなんでしょ?」 [リン] 「え… 何か食べに行くの?」 [ミク] 「さっきの学生さんおだてて、ネギラーメンの店聞き出してきた」 [リン] 「鬼だ…」 [リン] 「それはそうと… 今回"はつね"ってラーメン屋さん行ったんだから、 次はリンのラーメン屋さんがいいな」 [ミク] 「そんなのないでしょ あってもまずい」 [リン] 「おいっ、なんだその言い方 ミク姉、知らないな ちゃんとリンの名前のラーメン屋さん、あります それに結構おいしいみたい」 [ミク] 「え、どこにあるの?」 [リン] 「北海道の函館」 [ミク] 「遠っ!! マスター調査に行かせるわけ? ちょっと無理じゃ…」 [リン] 「言うだけはタダ ダメ元でお願いしてみよう」 [ミク] 「あんまり過酷な調査させると、本当に死んじゃうよ、マスター」 [リン] 「そん時はそん時だ 本当に行って、生きて帰ってくれば御の字だ」 [ミク] 「リンちゃん、中学生なのに凄いこと言うね(汗)」
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