現在初音地名は一つも存在しない東京都。しかし、昔はいくつか存在したのである。
東京都台東区にも初音という町があった。「谷中初音町」。近くに鶯谷と呼ばれる土地があっ
たことから、それに相応しい初音の名が与えられたという静かな下町。残念ながら昭和42年に
統合・合併により、周囲の地名ともども谷中というひとつの町になってしまった。
この町から初音と言う名が消えて、もう45年。半世紀近くの時間が経過しているのだが、どっ
こい今もここには昔の地名が名残として数多く残っている。今なお初音の名前に思い入れの強
い町なのだった。
[台東初音幼稚園]
以前紹介済みの物件。以前はこのあたりが谷中初音町1丁目と呼ばれた地区で、言ってみ
れば谷中初音町を代表する一等地だったと思われる。
谷中一帯は今でも多くの寺院が立ち並ぶエリア。この幼稚園も設立には仏教が深くかかわっ
ているとのこと、今もお寺の家族が運営しているそうな。
[初音]
谷中には旧町名を店名に使っているお店がいくつかある。ここもその一つ。茶道具や骨董な
どを扱っているそうだ。
昔ながらの民家を改装した店舗のようで、一見お店とは思えないような門構えである。下町
にはこういう佇まいのお店が点在しているのが面白い。
[谷中はつね治療院]
鍼灸専門の治療院。路地奥にある物件なので肝心な建物は見に行かなかったが、電柱看板
はしっかり記録。
[旧町名由来案内]
最近は街歩きブームで、ここ谷中も下町風情を楽しむ散策者が増えているようだ。谷中初音
町の謂れについて記された案内板もところどころに設置されていて、散策者にもわかりやすい
表示になっている。
[初音小路]
浅草にも同じく初音小路があるが、こちらはいたって静かな飲食店街。競馬新聞片手のお客
さんが殺到することはなく、手焼煎餅やさんに訪れる観光客なども目立つ。いたって健全での
んびりした雰囲気である。
[谷中初四町會會館]
旧谷中初音町4丁目の町内会の流れを汲む町内会館。今は谷中に統一されているが、町内
には半世紀近く前の繋がりが今でも根強く残っているのだ。
[初音児童遊園]
住宅密集地の片隅に隠れるようにある公園。ご覧のとおり敷地は狭く、下町の土地事情がよ
くわかる。
最近近くに広い公園ができて、この小さな児童公園は訪れる子供も少なくなってしまったよう
で、ちょっと寂しそうだ。
[防災広場初音の森]
元ゴルフ練習場の跡地を利用して作られた、広いスペースを持つ公園。災害時には防災拠
点として利用できるよう、炊き出し用の竈や緊急用トイレを設置可能な下水設備などを備えて
いる。
平時は公園として利用されていて、住宅密集地の谷中の町とは思えない広々とした空間が
自由に利用できる。周辺の住民にとっては貴重な憩いの場だ。
このほかにも周辺には初音物件が点在している模様。旧谷中初音町エリアの調査は今後も
継続して行う予定なので、新たな物件情報が得られたら追加掲載します。
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