八王子市に初音台という場所がある。 正確には、八王子市に初音台という地名は存在しない。高尾駅南側に広がる狭間町、その 高台の住宅地である「紅葉台」と呼ばれる地区のうち、西側の一角に付けられている通称であ る。したがってこの初音台という土地を知るものは少なく、VOCALOID地名としてもほとんど認 知されていないのが実情。 今回はそんな初音台を詳しく調査してきた。 狭間町の高台にある紅葉台は、住宅地として開発された街である。ご覧の通り、閑静な住宅 街が広がる。西側の一部が初音台と呼ばれているエリアだ。 高尾駅までは10分から15分程度で歩ける距離だが、高台なので起伏が激しく、夜などは歩く のに躊躇するようなコースである。しかし路線バスなど公共の交通は通っていない。そこで自 治体が自主的に循環バスというものを走らせている。初音台地区には「初音台公園入口」と 「初音台東」の二つの停留所が設置されている。 初音台のランドマーク的物件、初音台公園。住宅地の片隅にぽつんとある、静かな空間であ る。 初音台公園そばに立つ、周辺を示した地図。ご覧の通り、初音台の名を示しているのはこの 公園以外にないように見える。が、探してみると初音関連物件はほかにもあるのだ。 初音台公園西側から北へと伸びる道。やや下り坂になっていく道を進むと、そこには「初音 坂」と記された案内板がある。高尾駅までの最短ルートであるこの坂道も、れっきとした初音物 件なのである。 やがて道は突き当たりとなる。ここで行き止まりかと思いきや、この先は階段で一気に下って いる。「さくら階段」と名づけられたこの道、当然車で通行することは不可能である。ここからは 徒歩で進む。 しばらく階段を下りていくと、やがて谷間に広がる家々が見えてきた。ここは隣町の初沢町と 呼ばれる地区である。 そのまま進むと、小さな橋を渡る。橋の下の小さな流れは初沢川。 反対側から、橋を振り返る。じつはこの橋も初音物件。名前は「初音橋」という。初音台につ ながる道にかかる橋という意味でこの名が付いているのだろうか。
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