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ウイグルの料理
〜小麦料理編〜
ウイグルの暮らしと文化マレビトの目から見たウイグルトップページ
「ウイグル料理は世界一だ!」そんな言葉を新疆ではよく耳にします。そのことに関しては個人的にはノー・コメントを通したいと思いますが、こちらではラグマンやスユックアシュなど、ウイグル料理の大半を占める小麦料理をご紹介します。多彩で豊富(?)なウイグル料理をご堪能いただければ幸いです。

*料理の写真をクリックすると、私の雑感と料理のレシピ(一部)を記したページが開きます。
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 MENU(ウイグル語&漢語)

1.ラグマン längmän 拌麺 banmian
2.コルマ・ラグマン qoruma längmän 炒麺 chaomian
3.スユック・アシュ suyuq'ash 湯麺 tangmian
4.ウグレ ügrä 鶏蛋麺 jidanmian
5.チョップ chöp 澆汁面片 jiaojimianpian
6.チョチュレ chöchürä huntun
7.サムサ samsa 包子 kaobaozi
8.サンブーサ sambusa 油煎包子 youjianbaozi
9.ジュワワ juwawa 餃子 jiaozi
10.マンタ manta 包子 baozi
11.ホーシャン khoshang 餡餅 xiabing
12.ヤプマ yapma 圧普麻 yapuma
13.ギョシュ・ナン gösh nan rounan
14.ポシュカル poshkal 薄油餅 boyoubing
15.クイマック quymaq 油餅 youbing
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1.ラグマン (野菜と羊肉のトマト風味皿うどん) 
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ラグマンはウイグル人の最も好む料理の一つで、ウズベキスタンやカザフスタン、クルグズ共和国にも広く見られます。ラグマンの語源は定かではありませんが、一説には漢語の「涼麺」(liangmian)であると言われます。それが本当であれば、ラグマンの伝播は東→西というルートをたどったということでしょうか。

原材料は水と塩、小麦粉。生地をこねたのち、しばらく寝かせ、手でよって棒状にした後、さらに生地を引っ張るようにして伸ばし、最後に両手に絡めて台に叩きつけ、細く伸ばします。触感はこしのあるうどんと言ったところでしょうか。手で伸ばさずに、生地を平らにのばして幾重かにたたみ、細く切って作る場合は、ケスケン・ラグマン(käskän längmän)(切ったラグマンの意)と呼ばれます。

具は羊肉と野菜をトマトペースト(あるいは生トマト)で炒めて作ります。野菜は白菜、ピーマン、セロリ、いんげん、たまねぎ、なす、じゃがいもなどなど、特に決まってはおらず、その時期にある野菜が加えられます。ラグマンの具で季節の移り変わりが感じられるのが面白いところ。ラグマンの麺は、茹で上げ熱々か、あるいは一度水にさらして冷ました麺が選べ、いずれかの麺の上に具をかけて食べます。ちなみにラグマンをゆでたお湯はアシュ・スイー(ash süyi)と呼ばれ、麺を食べた後のお皿に入れて飲みます。ちょうど日本のそば湯の感覚ですね。

 ラグマンについての雑感とその作り方はこちらへどうぞ。


2.コルマ・ラグマン(野菜と羊肉のトマト風味焼きうどん)
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一般的にはソーメン(漢語の「炒麺(チャオミェン)」のなまったもの)の名でおなじみのこの料理。ラグマンが茹でた麺の上に野菜の具をかけるのに対し、茹でた麺をさらに野菜と一緒に炒めて作られることから、コルマ・ラグマン(qoruma längmän)、すなわち炒めラグマンと呼ばれます(コルマ・ラグマンにはボソという呼び方もあります)。

コルマ・ラグマンの麺は、ラグマンのようないわゆる麺ではなく、すいとんのような小さな四角い形をしています。素材はラグマンと大差ないため、基本的に味は同じですが、麺を具と絡めて炒めるだけあって、コルマ・ラグマンの方がよりこってりとした味わいになります。

 コルマ・ラグマンについての雑感はこちらへどうぞ。



3.スユック・アシュ(汁そば)
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ラグマン同様、ウイグル人の食卓によく上るのがこのスユック・アシュ(suyuq'ash)。ネイティブ風に発音すればスユッカシュですね。スユックはウイグル語で「汁の多い」、アシュは「麺」という意味で、日本の「汁そば」のようなものでしょうか(ちょっと違う?)。麺の生地の材料はラグマンと全く一緒ですが、スユック・アシュの場合は麺をスープの中に直接入れて一緒に煮るのが特徴です。

スユック・アシュにはいくつかの種類があり、中に入れる麺の形状によって名前が違います。もっとも一般的なのが、左の写真に挙げたすいとんのような形状のもの。ウイグル語ではウズップ・タシュラップ(üzüp tashlap)と言いますが、人によっては漢語由来のメンペル(麺片)と呼んだりもします。また、生地を薄くのばしてちぎって入れたものをホルップ・アシュ(kholup ash)と言うそうです。

ちなみに下記に挙げたウグレも、広い意味ではスユックアシュに含まれます。

 スユック・アシュについての雑感とその作り方はこちらへどうぞ。


4.ウグレ(羊スープの極細麺)
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ウイグル人の伝統的な麺料理、ウグレ(ügrä)。歴史は古くマフムード・カシュガリーの『トルコ語辞典』にもその名が見いだせるとか。(マフムード・カシュガリーがウイグルであったかというのは又別の問題ですが・・・)

麺の基本材料が小麦粉なのはラグマンなどと同じですが、違うのは中に卵を混ぜるところ。卵を混ぜることによって生地が硬くしまり、その生地を薄く伸ばして糸のように細かく刻みます。羊肉をたっぷりの水で茹で、それに刻んだ玉ねぎ、塩、コショウを加え、とトマト、各種の野菜を煮込んだスープの中に直接入れ、一煮立ちさせます。

ウグレは麺が軽く、スープが中心であるため、夜食などの軽食として食べられることが多いとか。特に遠路はるばるやってきた客人をもてなす時には必ずこのウグレが振る舞われるのだそうです。

 ウグレについての雑感とその作り方はこちらへどうぞ。


5.チョップ(羊肉のラザニア風平麺)
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チョップ(chöp)もウイグル人の伝統料理で、ウグレと同様『トルコ語辞典』にその名前がエントリーされています。

チョップには、カザフ料理でもお馴染みのナリン・チョップ(nerin chöp)とアトシュ・チョップ(atush chöp)があります。いずれも生地をごく薄く伸ばして茹で、茹で上がった麺に煮た羊肉を上に加え、混ぜて食べます。

 チョップについての雑感はこちらへどうぞ。


6.チョチュレ (トマト風味スープの羊肉餡のワンタン)
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チョチュレ(chöchürä)はウイグルの好む軽食の一つで、家庭で食べられる他、お客をもてなす時にも作られます。

作り方としては、まず羊の肉と脂身、玉ねぎのみじん切り、塩、コショウ、少々の水をよく練り合わせ、餡を作ります。小麦粉をこねた生地を麺棒で薄く伸ばし、四角形に切ります。その中に餡を包み入れて作るというように、ワンタンによく似ています。

餡は羊の脂身と玉ねぎのみじん切り、塩、故障、クミンと少々の水。材料をよく練り合わせた後、生地に包んで羊のスープの中に入れ、上に香菜を散らして、スープごと食べます。

 チョチュレについての雑感はこちらへどうぞ。


7.サムサ (羊肉包みパイ)
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サムサ(samsa)はウイグル人の伝統料理の一つですが、普通、ウイグルの人々はこれを食事とは見なさず、朝食、或いはちょっと小腹の空いた時に、おやつとして食べるそうです。また、その見た目がかわいらしいことから、慶事の際の贈り物としても重宝されるそうです。

作り方は、薄く伸ばした小麦粉の生地の中に、牛肉または羊肉、羊の脂身、たまねぎ、クミン、コショウ、塩を混ぜて作った餡を包みます。これを窯の内側に貼り付け、およそ15分ほどで、黄金色に焼きあげて作られます。また、家庭では、生地に卵と油を加えたパイ状の皮で具を包むサムサも作られます。

その他、餡を生地で包む時餃子のように包み、上に指の跡をしっかりとつけて作られるサムサは、特別にペルムーダ(pärmudä)と呼ばれます。

 サムサについての雑感はこちらへどうぞ。


8.サンブーサ(揚げサムサ)
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サムサと同様、軽食としてつままれるサンブーサ(sambusa)。

細かく刻んだ羊肉と玉ねぎ、こしょう、塩を混ぜ、炒めたものに、蒸らすか煮るかした米を加え餡を作ります。薄く伸ばした小麦粉の生地に餡をのせ、半月の形になるように半分に折って、端をパイ・カッターで切り落とします。それをよく熱した油で揚げ、最後に砂糖をふることもあります。

 サンブーサについての雑感はこちらへどうぞ。


9.ジュワワ(羊肉餡の餃子)
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ジュワワ(juwawa)なる言葉の由来は不明ですが、中華料理から取り入れられたというジュワワ。作り方といい、見た目といい、まさに中華料理の水餃子そのものです。

小麦粉に水を加えて練った生地を小さくちぎって丸め、麺棒で伸ばしてその中に羊肉と玉ねぎのみじん切りなどから作った餡を包み、熱湯で茹でます。

 ジュワワについての雑感はこちらへどうぞ。


10.マンタ(羊肉まんじゅう)
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マンタ(manta)は元々漢語の饅頭(mantou)から来た言葉であると言われますが、今ではウイグルの食卓に欠かせないメニューの一つとなっています。

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マンタには大きく分けてボルク・マンタ(boluq manta)とペテル・マンタ(petir manta)があります。ボルク・マンタ(写真左)が発酵させた厚い生地で皮を作るのに対し、ペテル・マンタ(写真下)は無発酵の生地で皮を作ります。どちらも中身に羊の挽肉に白菜、タマネギなどのみじん切りを加えたものを包む点では同じ。餡を皮で包んで、蒸し器で20分ほど蒸して作ります。

皮が分厚く、やや野暮ったいため、ボルク・マンタは主に家族用として食され、お客が来た時にはペテル・マンタがふるまわれるそうです。ウイグル料理にはブラク・マンタ、ペテル・マンタ以外にも、以下のようなマンタのバリエーションがあります。

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● カワ・マンタ kawa manta
カワはウイグル語でかぼちゃのこと。皮はペテル・マンタと同じですが、中に羊肉とかぼちゃの餡を包み込むのが特徴です。

モモ momo
ボルク・マンタと同じく発酵させた生地を使いますが、中には何も入れずに蒸します。
● アシュ・マンタ ash manta
ポロを作る時、上にペテル・マンタを載っけて蒸したもののことをいいます。
● シケル・マンタ shikär manta
シケルとは砂糖のこと。皮はボルク・マンタと同じですが、中に砂糖と砕いたくるみ、羊の尾脂を混ぜ合わせた餡を入れます。

 ボルク・マンタについての雑感はこちら、ペテル・マンタはこちら、カワ・マンタはこちらへどうぞ。


11.ホーシャン(揚げ羊肉まんじゅう)
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ウイグル料理の中でもやや変わった作り方なのがこのホーシャン(khoshan)。ホーシャンなる言葉の来源は不明ですが、語感からして中華料理の影響を受けたものと考えられます。(火焼とか?)

発酵させた生地に羊肉の餡を包むところまではボルク・マンタと同じですが、違うのはその後に油で揚げるところ。ふっくらとふくれあがり、きつね色になったところで取り出したら、今度は蒸し器でじっくりと蒸します。

皮を発酵させる、包んで揚げる、蒸すという手間と暇をかけて作られるホーシャンは、ウイグル人にとってはごちそうの一つとなっています。

 ホーシャンについての雑感はこちらへどうぞ。


12.ヤプマ(羊と野菜のかぶせ煮込み)
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ヤプマ(yapma)は、トルファン地方のウイグル人の郷土料理で、炒めた野菜の上に、小麦粉でできた生地をかぶせて作られることから、そのように呼ばれます。( *ウイグル語の動詞 yap-maq には「かぶる」、「ふたをする」、「覆う」などの意味があります。)

ヤプマには、ボルク・ヤプマ(boluq yapma)とペテル・ヤプマ(petir yapma)があります。上記のマンタと同じく、ボルク・ヤプマは発酵させた厚い生地で、ペテル・ヤプマは無発酵の生地で作られます。どちらも、骨付き肉と、煮えやすい野菜(じゃがいも、にんじん、いんげんなど)を鍋で炒め、かぶるぐらいの水を加えた後、野菜の上をぴったりと覆うようにして、それぞれの生地を広げ、蒸らして作ります。

元々はトルファン地方特有の料理であったヤプマも、今では新疆の各地で作られるようになり、特にレストランなどでは見た目にも豪華なごちそうの一つとして供されています。

 ボルク・ヤプマについての雑感とその作り方はこちらへどうぞ。


13.ギョシュ・ナン(肉入りナン)
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ギョシュ・ナン(gösh nan)は、ナンは何でもトヌルで焼きあげられるナンとは違い、鍋で作られるので、ウイグルの料理にエントリーしてみました。ギョシュ・ナンのギョシュは肉、つまり肉入りのナンという意味です。

このギョシュ・ナンはジューシーで柔らかく、またさくさくとした食感があるので、家庭で食べられる他、客人にも振る舞われる一品となっています。

 ギョシュ・ナンについての雑感とその作り方はこちらへどうぞ。


14.ポシュカル(揚げパン)
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ポシュカル(poshkal)は小麦粉で作った生地を揚げて作る伝統的な食品の一種で、日常的に食されるほか、法事など故人を祀る儀式においては、故人に捧げる意味で作られます。

作り方は、まず小麦粉にイースと塩を加えてこね、温かい場所で発酵させます。発酵した生地を小さくちぎり、麺棒で薄く伸ばして、真ん中にナイフで二つの切れ目を入れます。熱した油に生地を入れ、色づくまで揚げます。

ポシュカルは非常に柔らかく、香りもいいため、ウイグル人は大人も子供も好んで食べます。揚げたてをそのまま食べるほか、炒めた野菜と一緒に食べたり、チャイに浸したりしても食べられます。

 ポシュカルについての雑感はこちらへどうぞ。


15.クイマック(揚げ菓子)
クイマック(quymaq)もポシュカルと同様、小麦粉を揚げて作る食品で、その歴史は古く、『トルコ語辞典』にもその名前を見ることができるそうです。

作り方は、まず小麦粉にイースト、卵、塩を加えて柔らかくこね、温かい場所で発酵させます。発酵した生地を小さくちぎり、手でマンタの生地ぐらいの大きさに伸ばし、熱した油に生地を入れ、色づくまで揚げます。きつね色になったら油から上げ、熱いうちに上に砂糖をふります。

クイマックは主として家庭で食されますが、故人をしのぶ儀式にも見ることができます。特に、イスラーム暦8月15日の夜に行われるバラット祭の時にはクイマックが必ず作られるそうです。

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